「クマ対策市民講座―生態を正しく学び被害を未然に防ごう―」を開催しました 
投稿日:2026/07/29
6月21日(日)に、樺n域環境計画 野生生物管理部の吉田 淳久 氏をお迎えして、サロン講座「クマ対策市民講座―生態を正しく学び被害を未然に防ごう―」を開催しました。

(株)地域環境計画という会社は、動植物についての環境調査を実施している会社です。今回の講座のような普及啓発活動や、クマ・サル・イノシシなどの鳥獣被害対策支援なども行っています。
今回の講座では、ツキノワグマの出没状況やその要因、クマの生態、そしてクマとの遭遇を避けるための具体的な対策や、遭遇時の対応方法、地域で取り組む対策などについて詳しく教えていただきました。


【仙台市内におけるクマの出没状況】
全国的に、市街地に出没するクマの問題が深刻化しています。仙台市においても、特に昨年度から市街地に多くのツキノワグマが出没しています。
目撃情報だけに限らず建物内への侵入や人身被害も発生しており、地域の日常生活に大きな影響を及ぼすようになって来ました。特に都市部にまで侵入してしまったクマは、パニックに陥っていると考えられ、非常に危険な状態になっています。
【人里にまで出て来る大きな要因】
平常年は5月頃から夏にかけて多くなり、秋に減少する傾向を示しますが、堅果類(ブナ・ミズナラ・コナラなど)が凶作の年は秋に減少せずに増加し、大量出没となります。令和7年度は、ちょうど堅果類の大凶作の年に当たり、秋になっても出没は減少せずに増加し、出没通報件数だけでもそれまでの大量出没年の2.5倍を超える件数となりました。
また、これまでは冬から春にかけての目撃はほとんどありませんでしたが、昨年は冬から春にかけても目撃が続く状況がみられました。
管理されなくなった雑木林や耕作放棄地が増えると、クマの生息地である山林と人里の境界線が曖昧になり、クマが身を潜めながら移動することができるようになります。さらに人里には果樹や収穫後の放置野菜、家庭からの生ごみ、お供え物、有機肥料や揮発性油、ペットフードなどが確実にあるということを学習したクマは、繰り返し出没することになります。
人里への出没の背景には、クマの習性による要因の他にも、温暖化など気候・環境の変動、森林伐採やクマの保護政策など人間の開発や政策による影響、狩猟者の減少や過疎化・高齢化といった社会構造の変化などが考えられます。
悪いことに、ここ数十年という時間をかけてクマにとってこうした出没しやすい環境や状況が整ってしまったということです。そこに堅果類の大凶作が重なり影響したことが、大量のクマが人里にまで出て来ている大きな要因と思われます。決してここ1、2年急に変化したのではありません。
【ツキノワグマの習性】
・警戒心が強い…逃げたい・隠れたい…危険を感じると先ず、身を隠そうとします。
・慣れると大胆になる…危険が無いことを学習すると大胆になります。
・好奇心が強い…子グマや若いクマは特に強いといわれています。
・食べ物への執着心が強い・…ツキノワグマは植物食中心の雑食だが、草食動物に比べて植物の消化能力が低いため、特に秋は冬眠に備えて脂肪を蓄えるために大量に食べなければならない時期です。確実に食べ物を得られる場所を覚えることが死活問題につながっています。
【クマに出会わないための対策】
本来警戒心の強いクマは、積極的に人間を襲っているわけではなく、突然人間と遭遇することで、自身や子グマの身を護るために攻撃してくるケースがほとんどです。
好奇心の強い子グマと先に遭遇する場合が多いのですが、そばには必ず母グマがいて全力で攻撃して来ますので、特に注意が必要なケースになります。
この突然の遭遇を回避するためには、十分に距離のある内から人間の存在をクマに知らせるということが重要になります。具体的にはクマ鈴を鳴らす、ラジオをかける、声を出す、手を叩いて音を出すなどして、クマにこちらの存在を知らせながら進んで行くということです。
クマの活動は早朝と夕方が特に活発になるので、この時間帯には特に注意が必要です。またクマが身を隠しやすい草やぶに面した場所に近づく時には警戒する必要があります。
それでも、出合ってしまったらどうするか…
「興奮させない」「大声を出さない」「走らない」「背中を向けない」
そして、「ゆっくりとその場から後退り」しましょう。
「クマ撃退スプレー」の改良も進んでいるので、いよいよ襲いかかって来た時には有効な対策の一つになります。山に入る時には携帯しましょう!
運悪く最終局面にまで至ってしまった場合には、致命傷や深い傷を避けるために、首と顔をガードしながらうつ伏せになって腹部を護るという姿勢を取り、攻撃されても急所を守り、命を守りましょう。

携帯用クマ鈴とクマ撃退スプレー
【地域で取り組む対策】
・どんな場所にクマが出没しているかなど情報を集約し、地域に合った解決策を専門家のアドバイスも参考にしながら住民同士で話し合う。
・地域の現状の情報集約により、見えてきた課題を整理し、人里へ出没する要因を一つずつ改善していく。
・クマが人里に近づきやすくなる時期(交尾期、飽食期)を知り、特に出没しやすい時間や場所を避けて生活する。
・餌が簡単に手に入らないように管理する。
・ヤブの刈り払いを行う。
・緩衝帯をつくる(開けた環境をつくり潜み場をなくす)。
・林縁の整備(林内が見通せるようにする)。
【まとめ】
今回の講座を通して、クマの習性を知った上で、まず人里への出没の大きな要因となっている餌となる食べ物の管理と、移動を可能にしているヤブの刈り払いなどを、個人よりも地域全体の問題として把握し、有効な対策を取っていくことの重要性を教えていただきました。
正しい知識と適切な対策で、クマの被害を防ぎましょう!
講師の吉田さん、ご参加いただいた市民の皆様、ありがとうございました。

【クマの出没情報】
仙台市では、「クマ出没情報」を市民の皆さまから寄せられた目撃情報や、爪痕やフンなどの痕跡を基にお知らせしています。また宮城県のHPでも県内の出没情報を知ることが出来ますので、ご活用ください。
仙台市LINE公式アカウント
仙台市内でクマの出没情報が寄せられた際に、事前に仙台市LINE公式アカウントに登録して受信設定をしているアカウントへ出没情報を配信します。
詳しくはせんだい環境webサイトたまきさん「仙台市LINE公式アカウントでクマ出没情報を受け取れます!」をご覧ください。
仙台市メール配信サービス
仙台市内でクマの出没情報が寄せられた際に、事前に登録されているメールアドレスへ出没情報を配信します。
ご利用いただくには、事前登録が必要となります。
クマ出没情報マップ
仙台市内のクマの出没地点を、「せんだいくらしのマップ」内の「クマ出没情報マップ」に足跡マークで表示しています。
こちらもご覧ください。
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