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生きものこぼれ話 令和6年度「杜の都の生き物語〜清流の歌姫カジカガエルの観察会〜」を開催しました

投稿日:2024年08月20日(火)

令和6年度「杜の都の生き物語〜清流の歌姫カジカガエルの観察会〜」サムネ
今年も5月下旬に「杜の都の生き物語〜清流の歌姫カジカガエルの観察会〜」を開催しました。
かつて仙臺城の護りも担った竜の口沢で体感するカジカガエルの声とは……!?

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当日は、青葉山公園内にある仙臺緑彩館での座学のあと、竜の口沢に移動して、環境省「残したい日本の音風景100選」にも選ばれたカジカガエルを観察するという構成で行いました。

環境共生課による開会あいさつの後、水辺の生きものがご専門の棟方有宗教授(宮城教育大学)から、観察会場である竜の口沢や広瀬川と仙臺城の関係、竜の口沢(竜の口渓谷)や近隣エリアに生息する生きものなどについて、お話を伺いました。

講師の棟方有宗教授
講師の棟方有宗教授

前方に広瀬川・背後が三の丸跡という座学会場
前方に広瀬川・背後が三の丸跡という座学会場


座学会場となった仙臺緑彩館は、仙台の象徴のひとつ・広瀬川をまたいで仙臺城大手門と町の中心部(かつての城下町)とを結ぶ大橋のたもとにあります。
仙臺城が、東側の広瀬川の断崖や、外堀として機能した南側の竜の口沢など、天然の要害をうまく利用した強固な城であったことが実感できるロケーションです。

座学のあとは、いよいよ観察フィールドの竜の口沢へ向かって出発、となるところですが、仙臺緑彩館の背後、三の丸跡を囲む水堀・長沼の前でいったん立ち止まり、棟方教授のガイドに耳を傾けます。
ここで、竜の口沢も含め、仙臺城跡の周辺は両生類やは虫類など、水辺の生きものにとっても生息しやすい貴重な環境であること、長沼では準絶滅危惧種のニホンアカガエルなどが確認されていることなどを学びました。

何種類かのカエルの鳴き声が
何種類かのカエルの鳴き声が


その後は、竜の口沢を目指して歩きます。
夕暮れ時ということも相まって、思っていたより険しい本丸周りの断崖やモミなど自然植生による樹林の様相に、少々圧倒されながら進んでいきました。

目指すは竜の口沢
目指すは竜の口沢

かつては この険しい断崖の上に本丸が
かつては この険しい断崖の上に本丸が

沢に接近
沢に接近


ほぼ日没の予定時刻に竜の口沢の観察フィールドに到着しましたが、周囲はまだ明るく、さまざまな野鳥の声も聞こえているので、周囲が鎮まるのを待つことに。

夏至前でもけっこう明るい
夏至前でもけっこう明るい

ここで、暗くなる前にカジカガエルの姿をじっくり観察しておきましょう。
今回は、棟方ゼミなど宮城教育大学で生きものについて学ぶ学生さんたちのサポートにより、事前に竜の口沢のカジカガエルをご用意いただくことができました。
(カジカガエルのビジュアルについては、本記事タイトルの画像をご参照ください)

初めて見るカジカガエルは「意外と小さい?」「想像したのと違ってる」
初めて見るカジカガエルは「意外と小さい?」「想像したのと違ってる」

カジカガエルの姿は覚えましたが、鳴き声については、今回は音源等での「予習」はあえて行わずに、現地にやって来ました。
「オスのシカに似た鳴き声を発し、川に棲むカエル」という意味で「河鹿蛙」と綴られ、万葉の昔から日本人に愛されてきたカジカガエル。きっと政宗公も耳にされていたであろう、その鳴き声とはいったい……?

 大人の参加者はちょっとどきどきしながら、子供たちは待ちきれずに周囲の昆虫や植物の観察を始めるなどしながら、思い思いにその時を待ちます。

自主的に昆虫観察を始めるキッズ
自主的に昆虫観察を始めるキッズ

そうこうするうちに鳥の声がやみ、午後7時にはあたりが樹々のわずかな葉擦れと沢のひそやかなせせらぎだけになりました。
そして数分後……ついに聞こえてきました! カジカガエルたちは、捕食者である野鳥が寝静まるのを待っていたようです。

ついに鳴き出した!
ついに鳴き出した! 

最初は「かそけき」と表現したくなるほど本当に微かな声でした。
夕闇のなか、鳥のような、何とも涼やかな鳴き声が次第に次々と届き始めます。目を閉じて全身の感覚を集中させ、沢や森に溶け込むような気持ちで彼らの歌声をしばし堪能しました。
「彼ら」の声?――そう、「清流の歌姫」と呼ばれるカジカガエルですが、鳴くのはオスのみ。この妙なる歌声は、メスへの求愛アピールなのだそうです(時折、他のオスへの縄張りを主張する声も混在)。

ただ、例年に比べてカジカガエルたちの声が若干少ないように感じられ、棟方教授に質問してみたところ、
「(観察当日の時点では)雨がほとんど降らず竜の口沢の水量が例年より少ないからでは。繁殖期のピークが訪れていないだけで、生息数が減っているということではないと思います」
とのご説明をいただきました。
清流の環境指標種(その存在の具合から、その場所の環境条件を推し量れる種のこと)でもあるカジカガエルが好むのは、石や岩が程よく存在し、水辺に森があるような清流。美しい歌声を聞かせてくれたことから、現在も竜の口沢が森と共存している清流であることが確認できました。しかしこの日の沢では、せせらぎの音自体が、例年に比べてあまり聞こえていませんでした。環境に敏感なカジカガエルにとっては、水量の変化も活動に影響するのかもしれません。

 例年よりも川底の露出が多かった
例年よりも川底の露出が多かった

ところで、今回の観察フィールドは仙台市の中心部から直線距離にして1〜2km程度の地点なのですが、百万都市で、こんなに街の近くでカジカガエルの声を聞くことができるのは仙台だけとのこと。
海・山・川にほど近く、自然と都市の利便性が絶妙なバランスで共存している仙台という街の、生き物との距離感や保全について想いを巡らせつつ、いつまでもこの美しい歌声が響く沢であること願いながら、仙臺緑彩館へと戻りました。

電灯のない竜の口沢から仙臺緑彩館へ
灯火のない竜の口沢から仙臺緑彩館へ

参加された皆さんからは、
  • 仙台にもきれいな川があることを知り、後世にもカジカガエルの声を聴かせたいと思った。
  • 市内にこんな自然と触れ合える(街のそばであることを感じさせない)場所があるのかと感動した。
  • (カジカガエルの声は)小鳥のようだった。
  • 名前は知っていたが鳴き声は分からなかったので、今日聞けてよかった。
  • 鳴き声は耳にしたことがあったが、カエルだとは思いもしなかった。
等々のコメントが寄せられました(アンケートおよび口頭コメントより)。

カジカガエルの声を知っていた人も初めてだった人も、夜の沢で鳴き声を耳にした感動や、思っていたより身近で体験できるとわかったことの驚きが大きかったようです。

最後に棟方教授から、
「今日、皆さんはカジカガエルの鳴き声を覚えたので、今度は清流で鳴き声を探してみてください。実は、広瀬川でもけっこう聴く事ができますよ」
とのメッセージをいただいて、観察会は無事閉会となりました。

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さて、ここまでお読みいただき、カジカガエルの鳴き声が気になってきませんか?
カジカガエルの繁殖期は5月〜7月ごろのため、残念ながら現在、現地でカジカガエルの鳴き声を耳にすることは難しいのですが、環境共生課のサイト「WEBたまきさん」では、繁殖期に録音されたカジカガエルの音源データを公開しています。
竜の口沢や、新川、秋保など市内各地で観測された鳴き声の「聴き比べ」ができるほか、スマートフォンの着信音など私的利用も可能です。


■生きものが奏でる音風景(音源ダウンロード)

※ハイレゾやMP3など、データ形式が選べます。

まだまだ厳しい残暑が続きそうですが、清流のせせらぎと相まったカジカガエルの癒しの音で、ひととき、涼をとられてみてはいかがでしょうか。

併せて、市民の皆様から寄せられたカジカガエルの情報をまとめたマップも公開しています。身近な広瀬川での生息情報も一目瞭然! 下記のリンクから、ぜひご覧ください。

■生きもの生息地マップ
カエルマークでカジカ生息地がわかる
カエルマークでカジカ生息地がわかる

 

《こちらもどうぞ》

◆感じる、つながる、杜の都の生き物語 TOP
⇒生物多様性保全推進事業のインデックスページ

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⇒生物多様性や生きものについての読みもの(ブログ)のインデックスページ

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⇒清流の歌姫「カジカガエル」や仙台市の虫「スズムシ」などの生きもの動画

◇仙台市環境局公式Instagram
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環境局公式Instagramイメージ


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