「川には魅力がたくさん!〜川に棲む生きものを通して川の環境を知ろう〜」を開催しました。
投稿日:2022年12月24日(土)
たまきさんサロンスタッフです。
12月10日(土)宮城教育大学 棟方 有宗准教授を講師にお迎えして、「川には魅力がたくさん!〜川に棲む生きものを通して川の環境を知ろう〜」を開催いたしました。
棟方先生は小さい頃、お父さんと家の近くの多摩川で釣りをして以来、釣りが大好きになり、どんどんのめり込でいったそうです。
そしてある時、先生は一冊の本に出合います。それは「回遊魚の生物学」という本です。この本がきっかけとなり、魚の研究者の道に歩みだしました。
その後、アメリカの大学へ留学されたときは、キングサーモンを釣りあげ、日本人留学生たちとイクラを堪能したそうです。
現在、宮城教育大学で魚の生態調査、研究や河川保全に取り組んでいらっしゃいます。震災後には、仙台沿岸域の田圃環境の復元に取り組まれ、遠藤環境農園、カントリーパーク新浜とともに、2022年の日本自然保護大賞の選考委員特別賞を受賞されています。
先生の自己紹介のあとで、参加者の方々にも一人ずつ自己紹介していただき、交流を温めながら川の魅力や環境についてお話しいただきました。
仙台市の中心を流れる広瀬川は、一級河川でもある名取川の支流であり、全長約45Kmであります。72種類もの魚が生息しているそうで、川の上流、中流、下流ではそれぞれ生息する魚が違います。
上流は浸食域で木が生い茂って日陰ができたりする場所で、サケの仲間のイワナなどが生息しています。
霊屋橋付近などの中流は、石に藻が付きやすい水域でウグイ、アユなどがいます。
アユとアブラハヤ、ウグイの見分けかた、わかりますか?
アユの背中には、サケ科の特徴である、「アブラヒレ」があります。背びれと尾びれの間にある小さいヒレですね。
アブラハヤとウグイはコイの仲間で、これらにはアブラヒレがありません。
下流では、名取川と合流します。ここにはナマズ、フナ、オイカワなどが生息しています。ちなみに、フナを改良したのが金魚ということです。また、オイカワは国内外来種といわれるもののひとつで、琵琶湖からきたと思われるとのことでした。
広瀬川や名取川には、サケやサクラマスが遡上します。
サケやサクラマスは、卵を砂に埋めて産卵します。
卵から孵った稚魚には楕円形のパーマークというものがついていますが、 成長するとそれが消え、銀化といって体が銀色に変化します。
ちなみに、川で一生を過ごすのがヤマメ、ヤマメが海に出るとサクラマスになります。海に出たサクラマスは夏場にオホーツク海まで北上し、翌年戻り産卵するとのことです。
サケはサクラマスより海で過ごす時間が長く、オホーツク海を渡り、ベーリング海、そしてアラスカ湾を回遊して4年ぐらいで戻ってきます。
サケもサクラマスも、メスもオスも産卵後間もなく死んでしまいますが、その死骸はカゲロウやカワゲラなど川の虫たちにとって貴重な栄養源となります。
また現在、絶滅が危惧されている魚たちのお話もありました。スナヤツメなどはとても古い種で、シーラカンスよりも古いといわれているようです。
アカヒレタビラも以前は仙台市の太白区付近にいましたが、今は名取市にしかいないとのことです。
休憩をはさんで、棟方先生の元で学んでいる学生たちからそれぞれ発表がありました。
初めは、伊藤 崚さんから「魚にやさしい川づくりに向けて」という題で、サケやアユのような回遊魚に配慮してダム・堰に魚道を作っている事例を紹介していただきました。
竜ノ口渓谷や七北田川支流の梅田川付近では、「切り欠き(きりかき)魚道」といわれる、低コスト型の魚道が設置されているとのことです。また、このように生き物に配慮した川づくりを「多自然川づくり」と呼ぶそうです。
続いて、尾坪 莉子さんから広瀬川に生息するアユについて、その一生やアユ釣りについてお話いただきました。
アユは縄張り意識が強く、寿命が1年で年魚と呼ばれているそうです。広瀬川で5月、6月にそれぞれ2回、3地点で遡上調査が行われ、魚道の設置効果などを確認しているそうです。
また、アユに仕掛けをして泳がせて、それに攻撃してきたところを釣り上げる、友釣りといった独特の釣り方もあるそうです。
荒谷 綾香さんからはヤマメについてお話をいただきました。ヤマメは、生後川にとどまるものと、海へおりてサクラマスとなるものがあります。
今後は、捕獲しなくてもヤマメの行動が把握できるように体内に発信機を付けて調査する予定もあるとのことです。
最後は、実際の釣りの仕方、釣り竿や仕掛けについて学びました。
初心者向けのエサ釣り、中級者向けの擬餌針つり、上級者向けのおとり釣りなどがあり、今回は広瀬川でヤマメ、マス釣りなどができる「のべ竿釣り」(エサ釣り)の仕掛けの作り方を教わりました。
そして、基本的な結び方であるダブルサージャンスノット(竿先結び)とユニノット(フリーノットを実際の釣り糸を使って体験しました。
これらの結び方は釣り以外にも生かせるもので、日常生活でも役に立つものです。
今回の講座は、先生や学生さんたちの魚や生き物に対する愛情がとても伝わってきました。普段はあまり意識しない身近な魚たちの生態などをあらためて知り、自然の恵みや大切さを一層感じることができました。
私たちの命の源である身近にある川、そして生き物たちや自然をより大事にしてく、きっかけとなれば嬉しいです。
棟方先生、伊藤さん、尾坪さん、荒谷さん、貴重なお話ありがとうございました。そして参加してくださった皆さま、大変ありがとうございました。
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