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「鉱物博士になろう!−地球が生み出す不思議な世界−」を開催しました

投稿日:2026年04月17日(金)

たまきさんサロンスタッフです。
2月14日(土)に東北大学大学院環境科学研究科「環境研究推進センター」の大庭雅寛 特任准教授を講師にお迎えして、「鉱物博士になろう!-地球が生み出す不思議な世界-」と題したサロン講座を開催しました。標本作成や観察・実験を通して、鉱物の不思議や面白さについて教えていただきました。



【鉱物とは?】
ひと言で定義するなら「地質の作用によって作られた、ほぼ一定の化学組成と原子配列を持つ天然の物質」ということです。
わかりやすい例として、私たちがよく使っている「食塩(精製塩)」を考えてみましょう。食塩は、主に海水から人工的に加工精製された塩化ナトリウムの結晶ですが、これは鉱物ではありません。
同じ塩化ナトリウムの化合物に「岩塩」があります。これは天然に産出し、太古の海水の結晶化によってできた鉱物と言えます。
公式に認定されているだけでも6,000種類以上、日本ではこれまでに1,300種類以上の鉱物が確認されています。
<鉱物の特徴や性質>
@形:板状、犬牙状、柱状、針状など。
A色:鉱物本来の様々な色のほか、微量成分などによる影響で本来持っていない色(他色)の鉱物もあります。
B光沢:金属光沢、ガラス光沢、樹脂光沢、真珠光沢など。
Cへき開:割れ口が決まった方向に平面になること。
D硬さ:モース硬度で表現。ダイヤモンド:高度10
Eその他:条線、条痕、磁性、発光(蛍光)、放射能など。


今回の講座では、この内「発光(蛍光)」と「放射能」の性質を持つ鉱物を使った実験を行いました。

【実験➀ 蛍光鉱物】

蛍光鉱物に短波紫外線ランプや長波紫外線ランプで紫外線を当てて、蛍光の様子を観察してみました。
今回はサロンの教材として寄贈された「珪亜鉛鉱+マンガン方解石(USAニュージャージー州産)」「柱石(カナダ産)」「魚卵状オパール(スペイン産)」「コランダム(マラウィ産)」「マンガン方解石(ペルー産)」をサンプル鉱物として使いました。
発光の仕組みは、「発光(蛍光)」の性質を持った鉱物に可視光線に比べて波長が短く高いエネルギーを持った紫外線を当てると、鉱物の中の原子やイオンが光エネルギーを吸収して、その中の電子が一気にエネルギーが高い励起(れいき)状態となり、より長い波長のエネルギーを放出しながら元の状態に戻る時に光って見えます。
*鉱物標本作成体験で使う「灰礬柘榴石(かいばんざくろいし)」にも、「灰重石(かいじゅうせき)」という鉱物が付いている場合があり、これも紫外線を当てると青白く光ります。

【鉱物標本作成】
鉱物を収集し観察研究する上で最も重要な基本的な作業となる「標本作成」を、実際に体験してみました。


価値のある標本とは、希少性や結晶の状態、色合い、透明度なども重要ですが、採取された「産地」の記載が正確にされている標本であるということが一番大事なことです。
参加者全員で、「水晶(宮崎県嘉納鉱山産)」と「黄鉄鉱(群馬県東吾妻町御堂沢産)」、そして「リチア雲母(ブラジル、ミナス・ジェライス州産)」と「灰礬柘榴石(かいばんざくろいし、福島県伊達永井鉱山産)」の標本作成に挑戦してみました。


ラベルを手書きすることで、標本づくりの楽しさを体験できます。

鉱物標本用のラベルに「鉱物名」「産地」「採集日時」「採集者」などを書き込み、鉱物と一緒に紙箱に格納します。

【実験A 自然放射線の測定】
放射線とは、高エネルギーの電磁波や高速の粒子線を総称したものです。放射線を放出する放射性物質は、私たちを取り巻く環境中(宇宙、大地、岩石、大気、食べ物など)に常に存在しています。
これらの自然放射線量は住んでいる土地によっても変わりますが、平均すると年間で2.0〜2.5mSv(ミリシーベルト)位になります。
胸部X線検査を1回受けると0.06mSv、CT検査では1回に2.4〜12.9mSvの被ばく線量になると言われています。


試しに、シンチレーションサーベイメータ(放射線検出器のこと。以下「検出器」)を使って、たまきさんサロン室内での放射線量を計ってみます。
0.02〜0.03μSv/h(マイクロシーベルト)という数値でした。
1年間に換算すると、175.2〜262.8μSv/年(0.17〜0.26mSv(ミリシーベルト)位になります。これを「バックグラウンド放射線」と呼び、その場所ごとに違った値を示します。

【実験B 測定実験/遮蔽実験】
岩石の中にもウランやラジウムなどの放射性元素を含んでいる放射能を持った鉱物があります。
今回使った放射性鉱物は、すべて福島県でとれる「ユークセン石」「サマルスキー石」「石川石」「イットリア石」の4種類で、人体にほとんど影響を及ぼさないレベルの放射線量のものです。


検出器を試料に近づけていき、線量を測定します。検出器が発する音の間隔が変わることにも注意してみましょう!
10cm、5cm、3cmという間隔で鉱物(放射線源)に近づけていきます。次に、計測された数値から先ほど測ったバックグラウンド放射線量を引いた値を求めます。
最後の実験では、放射性鉱物と検出器との間に1cm厚のアルミニウム板と鉛板を置いて遮蔽実験も行いました。
今回の実験結果をグラフ化してみると、放射性鉱物からの影響(放射線量)について、次のようなことがわかりました。
距離 放射線源から距離をおけば、影響が少ない。
A時間 放射線源と接する時間を短くすれば、影響が少ない。
B遮蔽 放射線源との遮蔽物の厚さ、遮蔽物の素材によって変わる。アルミニウム板ではほとんど放射線を遮ることはできませんでしたが、鉛板は遮蔽効果が大きいということがわかりました。

【まとめ】
長い年月をかけて地球が生み出した鉱物は、単純に美しいだけではなく多くのことを語ってくれます。鉱物が持つ特徴や性質を知ることによって、産出地域だけではなく地球、宇宙の歴史までひも解くことができる可能性を秘めています。新発見の鉱物も、毎年100種類位見つかるということです。
また最近は、「珪灰石(けいかいせき)」という鉱物を使って、温室効果ガスの一つである二酸化炭素を地中に固定するという技術の研究開発も東北大学で進められているそうです。
鉱物が持つ様々な不思議な性質について、実験や体験を通して教えていただきました。
講座の終わりに、先生から参加者全員に「石英(水晶)」の嬉しいプレゼントがありました。
講座が終わってからも、先生に熱心に質問するこどもたちの目がとても輝いていたのが印象的でした。


講師の大庭先生、サポートしてくださった金野さん、そして講座にご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

【参考資料】
・松原 聡(2022)「図説 鉱物肉眼鑑定事典[第2版]」株式会社秀和システム.
・東北大学自然科学総合実験テキスト編集委員会 編(2009)「自然科学総合実験」東北大学出版会


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