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「地層・化石から読み解く仙台の大地の歴史」を開催しました

投稿日:2024年04月19日(金)

このイベントは終了しました。

たまきさんサロンスタッフです。
3月31日(日)にサロン講座『地層・化石から読み解く仙台の大地の歴史』を開催しました。
私たちが日々暮らしている仙台周辺の大地は、そもそもどのようにして形づくられ変化してきたのでしょうか? 講師に東北大学総合学術博物館館長 嶋 礼詩(たかしま れいし)教授をお迎えして、地層や化石からわかる仙台周辺部の大地の歴史について学びました。


【地層から大地の歴史を読み解く】
地球表層は、海と陸に分かれており、その違いは海の岩石と陸の岩石との違いでも分けることができます。
海の底は密度が高く重い「玄武岩(げんぶがん)」というマグマが固まった火山岩からできています。一方、陸地は比較的密度が低く軽い「花崗岩(かこうがん)」からできています。

異なる種類の岩石が入っている地層を調べることによって、「いつできたのか」と「どんな場所でできたのか」という地層ができた時代の環境が推定できます。堆積岩の中にある動植物の化石からも、「いつの時代の生き物か」や「いつの時代の地層か」という推定ができます。
また、水深によって棲み分けをしていた底生有孔虫の微化石からは、当時そこがどれくらいの深さだったのかも知ることができます。

火山岩は、マグマの種類によって「玄武岩」「安山岩」「流紋岩」に分けられます。粘性の低い玄武岩質マグマは、地表に噴出すると溶岩流となって流れ下ります。粘性が高い流紋岩質のマグマの多くは火砕流となって噴出し、火砕流堆積物として軽石状の岩石となります。火山岩や火山灰を調べることによって、その時代その場所でどのような火山活動があり、どのような噴火が起きていたのかを推定することができるのです。


【仙台周辺の大地の歴史】
このようにして地層や岩石、化石から読み解いていくと、仙台周辺の地層はおよそ2000万年前以降のより新しい地層によって形成されていることがわかります。
これらの地層からは、大きく分けて5つの大きな形成の違いを見ることができます。


@日本海の拡大と海底・陸上噴火の時代(2000万〜1500万年前)
まだアジア大陸とつながっていた日本列島が、プレートの移動によって引き剥がされるように分離し、間に日本海が形成された時代です。火山活動が活発化し、東北日本全体は噴火によって火だるま状態でした。仙台周辺では、海底火山や陸地の火山から噴出した玄武岩や安山岩、海底で堆積した流紋岩や火砕流の堆積物の地層がみられます。

A東北日本沈没の時代の地層(1500万〜800万年前)
日本海の拡大が停止し、火山活動が減少し地殻が冷えた時代です。東北地方のほとんどは海の底でした。作並など奥羽山脈は、水深1000mにも達する深海で泥岩の堆積が見られます。数10m〜200mの水深があったこの時代の仙台周辺の地層には、海底に堆積した砂岩層が見られます。

Bカルデラ噴火の時代の地層(800万〜600万年前)
東北地方の大部分が陸地化し、活発なカルデラ噴火(通常の火山噴火の数千倍以上)によって、東北日本は火山灰に覆われ、巨大な窪地「カルデラ(直径2km〜30km)」が多数形成されました。仙台の西部には巨大な「白沢カルデラ」が形成され、カルデラの周辺にできた溶岩ドームや成層火山が、現在の「権現森」や「蕃山」「太白山」の原型です。青葉山は、白沢カルデラの東側の縁に位置していました。このカルデラ湖に堆積した堆積物が「白沢層」と呼ばれる地層です。


C海水準変動の影響による地層(600万〜250万年前)
海進による水没と干上がりの時代を、何度か繰り返しました。水沢市付近まで海が深く入り込み、仙台も青葉山周辺は数10mの深さの海でした。竜の口渓谷から見つかったクジラやイルカの化石は、この時代のものです。

D奥羽山脈隆起と成層火山の形成(250万年前〜現在)
東西プレートの強い圧縮によって断層が生じ、断層によって隆起した地盤の上に蔵王などの新たな火山の列ができました。これが現在の奥羽山脈です。また、作並や遠刈田などの温泉は,これら奥羽山脈を持ち上げた断層に沿った分布をしています。


【自然史標本館】

講座の後半では、「東北大学理学部自然史標本館」に会場を移動し、館長である嶋先生の解説付きで化石や岩石の展示標本を見学しました。
先カンブリアの時代からの貴重な化石や岩石鉱物標本が年代別に展示されている自然史標本館ですが、専門家の解説付きの見学は、とてもわかりやすかったと参加者の皆さん方にもたいへん好評でした。
あらためて、たっぷり時間をかけて見学したい施設だと感じました。


【まとめ】
今回の講座では、現在私たちが生活している大地の、2000万年にも及ぶ劇的な変化の歴史を知ることができました。地層や化石を通して、人類登場以前からの大地の成り立ちを知ることで、作並付近がかつては深い海であったことや、竜の口渓谷のような場所で、なぜ海の生物の化石が見つかるのかという大きな疑問も解けました。
また、過去を知ることが、未来に起きるだろう海面上昇や火山の噴火などの自然現象の予測にもつながるということも学びました。

嶋先生、見学でお世話になった標本館のスタッフの皆さん、そして参加者の皆さん、ありがとうございました。



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