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「だれ一人取り残されないために〜僕の国キリバスからのメッセージ〜」を開催しました。

投稿日:2022年12月01日(木)

このイベントは終了しました。

たまきさんサロンスタッフです。
11月23日(祝・水)、「だれ一人取り残されないために〜僕の国キリバスからのメッセージ〜」と題し、一般社団法人日本キリバス協会 代表理事のケンタロ・オノさんにご登壇いただき、中央太平洋の島国キリバス共和国(以下「キリバス」)のこと、地球温暖化の影響で水没の危機にある現状、そしてSDGsのことを学ぶサロン講座を開催しました。

たまきさんサロンでは、毎年ケンタロさんにサロン講座の講師をお願いしています。
いつものようにキリバスの正装である「テ・ベー(布の腰巻)」と「柄シャツ」、「貝殻の首飾り」に「花飾りの冠」で登壇されました。

仙台市出身のケンタロさんは、小学校5年生の時に興味を持った美しい南の島へのあこがれが高じて、キリバスの高校に編入学、ついには23歳の時に日本人で初めてキリバスに帰化されました。
キリバス国籍の取得という子どもの頃からの夢をかなえられました。

現在は日本に移住して、各地で公演や講座講師、キリバスへの支援事業などを担っておられます。
令和元年度「宮城県ストップ温暖化大賞」を受賞され、令和2年度の「気候変動アクション環境大臣表彰」も受賞されました。

キリバスは世界でもっとも早く太陽が昇る国で、どこに行っても青い海と青い空と白い砂浜です。
キリバスの国を作るのは、東西5000kmの広さに散らばったサンゴの砂でできている島々で、「山も川もない」「平均海抜2m」「首都タラワの幅は平均でわずか350m!」という国土に約12万人の国民が暮らしています。

日本列島がすっぽり入るような広大な海域に散らばった小さな島々は、合わせても仙台市ほどの面積しかなく、そこに若林区と同じくらいの人口が暮らしている国です。
貿易や戦争、ニッポン・コーズウェイ(1985年に日本の無償資金協力により整備された約3.3kmの海上道路で、ベシオ島(国際港が存在)とバイリキ島(行政機関本庁が存在)を結ぶ唯一の最重要幹線道路)等のインフラ協力、日本漁業の人材等、日本との意外な深い関係も教えていただきました。

どこへ行っても青い海と青い空と白い砂浜、そんな楽園イメージの南国の島々が、いま危機に瀕しています。

世界銀行の報告書によれば2050年には、首都のあるバイリキ島タラワは、面積の25%〜80%が海面上昇などの影響によって浸水するおそれがあるのです。
キリバスの多くの島々では、大潮のたびに住宅地が水に浸かるという状況が頻繁にみられるようになって来ているそうです。
高波や高潮などによって海岸が削られ、砂浜が流出し、海岸浸食がかつてない勢いで進んでいます。

キリバスには山や川が無いために、真水は雨水の貯水と地下水に頼っていますが、年々、雨期や乾期のサイクルが乱れ、地下水の塩分濃度が高くなって来ているそうです。
つまり、お年寄りも赤ちゃんも、しょっぱい地下水を飲料水として飲まざるを得なくなって来ているのです。

自分の国に住めなくなってしまうことは、計り知れない悲しみです。
ケンタロさんが、自国の深刻な状況を懸命に世界に向けて訴え続けているのは、キリバス人としてキリバスという国を思うがゆえのメッセージなのです。
「たとえ最悪の結果となった時も、環境難民には決してならない。
受入国の負担にならず、受入国にとって有益な職業人として、尊厳ある移民でありたい。」と語るケンタロさん。キリバス人としての誇りを強く感じました。

最近、新聞やテレビでもよく見聞きするようになった「SDGs(エスディージーズ)」という言葉があります。
色分けされた17のアイコンを目にしたことがあるのではないでしょうか。
小学校の授業でも「SDGs」が取り上げられるようになりました。
この 「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で決められた国際的な共通目標です。
長期的な指針として、“2030年までに達成すべき17の目標”が掲げられています。それが色分けされた17のアイコンです。

今回の講座タイトルにも使用した「だれ一人取り残されないために」という言葉は、SDGsにおける基本理念であり重要なスローガンです。
日本では食事の時、いただきます、ごちそうさまと挨拶をします。食べ物は命だということを日本人は知っていたはずですが、フードロスでは世界でワーストクラスです。
「膨大な量の食べ物を作るために、広大な面積の山や森を切り開いて牧場や農場が作られ、そこで作られた膨大な食べ物はとても遠い所へ運ばれ、私たちはそれを全部食べることはしない。フードロスとして有効活用することなく燃やしてしまう。」負のサイクルです。

ケンタロさんは伝えてくれました。
「人は意見が違って当たり前、見方が違って当たり前。たくさんの情報に触れて、自分の意見を大切にして、そして自分とは違う意見を聞く耳と心を持ってください。」
「地球温暖化は人災です。強い意志と行動は希望につながります。そして自然は必ず応えてくれます。個人は世界に繋がっています。だからこそグローバルに考え、ローカルに活動するのです。」
「愛の反対とは、憎しみや恨みではなく無知と無関心です。関心を持たれないことが一番つらいことです。」

「目を向ける」つまり関心を持つことが、第一歩です。

さあ、そこで何をすべきなのか? 何ができるのか?

ケンタロさんは、けっして答えを提示しません。
それは、関心を持った人それぞれが考えるべきだからです。

ケンタロ・オノさん、そしてご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

キリバス共和国を中心とした日本語表記の大洋州の地図もいただき、キッズコーナーに掲示しました。
「SDGs」に関する本や、ケンタロ・オノさんが書かれた『キリバスという国』(エイト社発行)は、たまきさんサロンでも貸出しております。ぜひ読んでみてください。






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